『花弁の処置や挙動』
花弁は切除しても問題無いです。
私はグイッと広げてクセをつけてしまいます。
この時ついでに雄蕊も外側に向くので、風媒による自家受粉の可能性も減っているのではないかと思います。
クセをつける際は根元からもげないように注意します。
ものにもよると思いますが、受粉すると花びらはしおれたり閉じたようになる仕組みがあるように思えます。
何もせずそのまま咲かせておけば何日か咲いていますが、開花から日数が短いものでも受粉に成功した次の日にはしぼみだしていることが多いので、ある程度受粉成功の目安になるかと思います。
なので必要ならば花粉は使い切ってから受粉させたほうが良いです。
『ティッシュ』
雌蕊の付け根、奥のほうから蜜が出ます。
日当たりの良い日はとても濃くて水飴状です。
フルーティーな甘さでなかなか美味しく、舐めてみると楽しいですが防虫剤が気になるところです。
雌蕊の先にも水分が出てきます。
詳しくは知りませんが、舐めても味がしないんで蜜ではないようです。
たぶんOKサイン的なヤツで、これが出たら受粉させてますがだいたい成功しているんでそういうものなんだと思います。
花粉が浮いてしまったり湿るとノリが悪くなるような気がするんで、ティッシュを当てて吸い取ってますが問題なさそうです。
粘性がほとんど無いんで軽く当てるだけで吸い取れます。
『精密ピンセット』
個人的にはマストアイテムです。
普通のピンセットだと上手く雄蕊を掴めません。
精密ピンセットだと、「雄蕊を挟む」→「掴んだまま切断」という作業が簡単に出来るのでとても便利です。
毛抜きだと先が太くてやはり使いにくく、小さいので手も疲れます。
雄蕊1本につき雌蕊1組くらいの配分になりますがそれほど「ひたすら花粉親で使いたい株」みたいのがない限り間に合うと思います。
工作用のものは結構高価ですが、100円ショップにもそれなりのものがあります。
ヤスリで丁度良く調節してみるのも良いと思います。
筆も試しましたが、しっくりきませんでしたので。
やっぱりグリグリ塗ると「塗ってやったった感」があります。
『除雄』
除雄とは自家受粉を防止して、目的の花粉が受粉するようにその花の雄蕊を除去する作業です。
簡単に言えば不要な雄蕊をさっさと切除してしまうことです。
交雑させたはずなのに発芽してから「実は自家受粉でした」となるとガッカリなので出来るだけやっておきましょう。
『ハチ避け』
ミツバチがブンブン飛んで来てゴソゴソされると、お目当ての花の花粉をゴッソリ持っていかれたりすることがあってとても困ります。
意図しない花粉を受粉する可能性もあります。
そこで不織布や、ネットで軽く包んでやると良いです。
通気性抜群で、軽いため花茎に負担が掛かりにくいです。
不織布は台所の三角コーナーに使う「水切りネット」が安価で代用出来ます。
あとはクリーニング屋の袋とか。
ホチキスやテープ等でとめて使いやすい形状にします。
『記録』
記録付けはなかなか大変です。
色々試しましたが未だに定番となるようなアイテムも無く。
来年用に100円ショップで色つきのゼムクリップを買ってみました。
ヒョローンとした先っぽのほうに沢山つけると若干重いかもしれませんが、視認しやすいし風の影響も小さそうなので期待しています。
ラッピングタイ(針金にリボンがついたようなヤツ)というのも良さそうです。
「この花茎にはこの花粉」くらいに組み合わせを簡略化しておくのも面倒臭過ぎないので良いかなと思います。何しろ長丁場なので。
種子を回収
どれが種子なのか?
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未経験者最初の難関がここにあると思います。
ゴミみたいな粉状なので初見だと種子が出来ていても種子だとなかなかわからないです。
種類にもよりますが本当に粉状のものから、紙に落としたらパタパタと音がするくらいのツブ状のものもあります。
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分かりやすい E. lilacina の種子。
☆の内側に見えるツブツブ。
乾燥すると内側から裂けて、軽く叩くとパラパラ落ちてきます。
だいたい赤茶色で細長い感じ。
種や品種によって種子の大きさは結構変わります。
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いくら乾燥させてもニンニクみたいな形のままぜんぜん裂けてこないものも多いです。
そういうのは剥いてやると中からドバーっと出てきます。
グニャっとしてパリっと裂けないうちは乾燥が不十分かも。
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朧月の種子。白いツブツブ。上側のはどこかに飛んでいったのか空になっている。
たまに真っ白い種子が出来ていますが、不発に終わることが多いような気がします。
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購入したアエオの種子。ゴミじゃないよ。
流石に不安感たっぷりでしたが普通に発芽しました。
エケベリア等よりも成長が早いので楽しいです。
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『早めに回収してしまおう!』
受粉が済み、ある程度経つと花茎と花の間の部分は萎れてきます。
あとは自然乾燥するだけなので段階で回収してしまいます。
そのまま乾燥するまで待っても良いですが、濡れて腐ったり紛失してもつまらないので花の付け根がしおれてきたらさっさと回収してしまったほうが良いです。
水分が少ないので手で千切ろうとすると結構失敗しやすく、花茎を傷つけたりしやすいのでハサミを使って切断したほうが無難です。
回収した花は紙などに包んで完全に乾燥するまで待ちます。
私はメモ用紙に親株を書いて、それを折った中に保管して乾燥待ちしています。
良く乾燥していると、ものによっては軽い振動でもパラパラと種子が出てくるので分かりやすいと思います。
表記としては・・・
母株 X 父株
母株
X
父株
先に書かれる方(左側・上側)が種子親・母株
後に書かれる方(右側・下側)が花粉親・父株
というのが一般的なルールなので覚えておいたほうが良いです。
播種、タネ蒔き
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花ガラから種子を分離、そしていよいよ蒔く!
茶漉しと手頃な鉢と腰水トレー。
年季入ってます。
茶漉しは目の細かい網で花の残骸と種子を分離します。
必要というワケではないですが、気分も良くないしカビの原因になるんで不要な部分は取り除いておいたほうが良いです。
私はコピー用紙の上に茶漉しを置き、その上で花を分解します。
分解が終わったらトントン、と叩くと気持ちよく種子が回収できます。
あんまりやりすぎると残骸が粉状になって混じりだすんでほどほどに。
くしゃみをするとコントみたいになります。
分離が終わったらすぐに蒔くなり、包んでいたメモ用紙に戻して気温待ちをするなり、秋まで保管するなり。
フィルム状の袋に保管すると静電気で貼り付いてイライラするので、薬包紙とかの紙系が良いです。
【種子の保管期間】
詳しくは不明ですが、常温でも1年くらいは余裕っぽいです。
冷蔵すれば数年いけそう。
アエオニウムだと数年前に咲いた株の種子が屋外で発芽してきたりするのでなかなかタフです。
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『鉢』
腰水でしっかり給水出来るように、浅めで小さめのものが色々とオススメです。
ラン鉢のような背が高くて地表と水面が離れるものはイマイチでした。
湿度等の問題でしょうか?
『土』
防虫剤は入れたほうが良いです。
粗過ぎ無ければ普段使っている培養土で良いと思います。
『表土』
表土は細かいもののほうが発芽率は高かったですが、手頃な赤玉土小粒でもあんまり不満も無いです。
芝目土あたりが無難でしょうか。
いくらか試しましたが、それほどこだわってもあまり変わらないような印象です。
恐らく土がどうこうよりも種子の発芽力のほうが重要じゃないかと思います。
殺菌・消毒も個人的には面倒なのでしないです。
レンジでチンやら熱湯やらホーマイやらで消毒するのが多いかも。
ちなみにハオルシアは「バーミキュライト」が良いという話を聞くことが多いような。
『蒔く!』
上から水遣りすると土の隙間に流れていってしまうんで、腰水で給水してから蒔いています。
粉状なのでなかなか均等に蒔くのは難しいです。
私はV字に折った紙をトントンしながら蒔いています。
『腰水用トレー』
使いやすければ何でも良いと思いますが、あまりに簡易なものだと事故ります。
「豆腐が入っていたパック」のようなものだとすぐに劣化して弾力性を失い、砕けてバラバラになったりします。
また持ち運ぶ際にたわんだりすると危ないので、ある程度の厚みと頑丈さのあるトレーを用意することをオススメします。
私は100均のカトラリートレー(スプーンとかフォークを入れるヤツ)を何個か購入して毎年使っています。
小鉢が4つ納まるジャストサイズで、深さも腰水するのに十分です。
『環境・置き場所』
種子を回収するころには良い気温になっていると思いますが、適温は 27℃ くらいの印象です。
よくわかりませんが、秋に気温が下がり始めたくらいにも発芽しだす種子があったりするんであまり高温でも良くないのかもしれません。
夏に失敗しても秋に生えてきたりするんで気長にいきましょう。
雨にあたるような場所だと雨粒に吹き飛ばされるんで流石にNG。
窓越しでしかやったことがないのでハウスでの遮光はわかりません。
室内は目が調光してしまうのでわかりにくいですが、屋外に比べるとかなり暗いです。
窓越しの場合は真夏でも思い切り光に当てるようにするくらいのほうが良いです。
窓ガラスに近い鉢ほど調子が良いくらいです。
腰水があれば豆苗でも平気です。
エアコンも掛けて全然大丈夫です。
ある程度多肉らしくなったら給水頻度は減らしても平気です。
多肉だし。
こういうのが生えてきたら成功!あとはせっせと水を足すだけだ!最初はかなり小さいですがしばらく双葉のまま大きくなって、ある程度成長すると本葉が出てそれらしくなります。
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